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ピリギゃルが将棋倶楽部24で初段になる50の方法

期間限定で公開中。将棋で強くなるための上達法のあれこれ。難しい符号は一切なし。将棋以外にも応用できるので、ご愛読を。

5手詰めのコツ 世界一詳しい解説の試み(応用編)

はてなブログ(愛称:ピリ将)

ピリギゃルが将棋倶楽部24(将棋ウォーズ)で初段になる50の方法

5手詰めのコツ

 

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5手詰めを解けるようになるための11の方法(応用編)

 好評につき、昨日に引き続き、5手詰めの解き方(応用編)をレクチャーする。

 実は5手詰めは3手詰めと違う点が1つある。難問が作りやすいのだ。

 「5手詰めなんて楽勝だ」と言っている人は、めちゃくちゃ強い人か、何も分かっていない人かのどちらか。よく吟味した方がよい。

 事実、将棋倶楽部24の初段(一般的な棋力で言えば三段)でも、かなり時間をかけなければ解けない難問というものが存在する。

 私シュうぇッチマンの場合は、さすがに解けない5手詰めはないと断言できるけれども、それは最近のこと。5手詰めに一日、悩まされた経験もある。

 したがって、大半の5手詰めは解ける初段と、すべての5手詰めを解ける初段の間には、巨きな隔たりがあるわけだ。

 しかし、そうはいってもやはり、5手詰めは所詮、5手詰め。昨日紹介した「11の方法」を応用すれば、解ける。

 復習しておけば、「11の方法」とは、以下のとおりであった。

 

5手詰めを解けるようになるための11の方法

 「第1条 種駒を絶やしてはいけない。」

 「第2条 持ち駒を打って、動かす。」

 「第3条 非常識な手を探す。」

 「第4条 大駒を捨ててみる。」

 「第5条 退路に目を付ける。」 

 「第6条 後手の応手が複数ある手を選ぶ。」

 「第7条 退路を封鎖する。」

 「第8条 3手詰めの筋を見つける。」

 「第9条 ダメな手の理由を探す。」

 「第10条 大駒をどこから打つか考える。」

 「第11条 盤上の駒を成る。」

 

 ただし、難しい問題の場合は、これらの言葉の柔軟な言い換え能力が求められる。また、前提として、詰将棋特有のスキルである「邪魔駒消去」や「打ち歩詰め回避」についての知識が必要である。

 言い換えれば、攻撃力や守備力を減退させる知識と能力と技術のことだが、それがなければ、詰将棋の難問は解けないだろう。

 「退路封鎖」「邪魔駒消去」「打ち歩回避」は、やはり詰将棋の3大テクニック。

 

 さて、本日の例題は、第12回詰将棋解答選手権初級編の6番、小林敏樹氏作の5手詰めを、敬意を払いつつ、お借りしてきた。名作である。

 なお、引用にあたっては、全日本詰将棋連盟のガイドラインを守っている。大切な創作物なので、無断引用は、厳に慎んでいただきたい。

 引用元は、こちら:

blog.goo.ne.jp

 

f:id:Shouldgo:20170405093932p:plain

 

 10分以上考えて分からなければ、下の詳しい解説をどうぞ。(分かった方も、念のため、お読み下さい。)

 ちなみに、同選手権では193人中、正解が69人(正答率35.7%)とのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 以下、解答解説編。ネタばれ注意。

 

 パッと見る。「実戦なら▲5七馬と竜を取ってしまうな」「テーマは『邪魔駒消去』」というインスピレーションを働かす。

 もっとも、「邪魔駒消去」と言っても、味方の駒を消すのではない。敵の強烈な竜と飛の威力を抑えるという意味である。もし、飛と竜がいなければ、桂打ちの一手詰めだ。この「もし」と考える発想法は、実戦でも詰将棋でも非常に大事。味方の包囲網がしっかりしているので、敵駒さえ消せば、勝機はあると、最初にイメージしておこう。

 

「第1条 種駒を絶やしてはいけない。」

 

 いや、お言葉を返すようだが、種駒がいっぱいある場合は、どうするか。

 簡単。絶やしてはいけない種駒と、そうでない駒を峻別することから始めよう。

 現状を把握してみる。「中段玉寄せ難し」という中段玉だが、幸いなことに、玉がどこにも逃げられないように包囲してある。その中で、唯一、利きがダブっているところがあって、それが3四の地点。ということは、1六角が自由に動いてよい駒というふうに特定できるだろう。

 非種駒は、先手の1六角だ!

 

「第1条の言い換え 非種駒を見つけよう」

 

 次に持ち駒を見てみよう。桂馬が2枚である。ということは、5手詰めということがわかっているので逆算すると、1手だけ盤上の駒を動かす計算となる。

 

 ▲〇〇桂~▲〇〇桂~▲〇〇X

 ▲〇〇X~▲〇〇桂~▲〇〇桂

 ▲〇〇桂~▲〇〇X~▲〇〇桂

 

 

 シミュレートすれば、本線は必ずこの3択ということ。

 

「第2条 持ち駒を打って、動かす。」

「第11条 盤上の駒を成る。」

 

 ただし、この桂馬を動かすということではなさそう。また、中段玉なので、成りで決める11条も当てはまらないような気がする。

 ということは、桂馬を打つ以外は、盤上のある駒を動かすよりなさそう。ある駒。それは、1六角。

 

「第2条の言い換え 非種駒を動かす。」

 

 ここまでわかれば、いよいよ初手の探索にかかろう。

 

「第3条 非常識な手を探す。」

「第4条 大駒を捨ててみる。」

 

 最も常識的な手は、桂打ちの王手。持ち駒は桂馬しかないし、その桂馬が2枚なのだから、初手▲3七桂は当然、候補となる。しかし、常識的すぎるし、凡庸すぎる。また、二枚の大駒の利きが強すぎるので、取られて、無意味そう。

 よって、大駒を捨てる、非常識な手を読む。

 とはいうものの、馬や金を捨てると、大海に逃がす。たとえば、▲4六馬△同玉は、悪手にもほどがあり、何をやっているのかと破門されそう。せっかく退路を封鎖しているのに、自ら包囲網を解いて敵を逃がしてどうする、馬鹿もん。警察ならクビになるレベル。

 

 「第5条 退路に目を付ける。」 

 「第7条 退路を封鎖する。」

 「第7条の応用 退路を開かない。」

 

 ここはやはり1六角を動かすことから考えたい。

 

 ▲3四角 または ▲2七角

 

の二択である。

 ただし、▲3四角△同飛成▲3七桂△同竜上は、悪手にもほどがあり、何をやっているのかと破門されそう。

 ▲2七角△3六合▲3五馬は、3手詰めの早詰め。

 

 「第8条 3手詰めの筋を見つける。」

 

 したがって、後手の応手を変える。

 ▲2七角△同竜▲3七桂△同竜▲5七桂△同竜は、悪手にもほどがあり、何をやっているのかと破・・・(以下省略)

 以上により、初手▲2七角は無効だが、脈はありそうだとわかった。

 

 「第9条 ダメな手の理由を探す。」

 

 やはり飛車と竜の威力が強すぎる。これに尽きる。ならば、手順を工夫してみよう。

 まず凡庸に▲3七桂から入る。凡庸と評したが、しかし、飛と竜の焦点に駒捨てだから、実はそれなりの妙手なのだ。事実、後手の応手は、△同飛成と△同竜の二択である。飛車と竜の利きをダブらせれば、勝機も見えてくるはず!

 

 「第6条 後手の応手が複数ある手を選ぶ。」

 

 ▲3七桂△同飛成▲2七角△3六合▲3五馬まで

 ▲3七桂△同飛成▲2七角△同竜▲3五馬まで

 

 飛車の利きを逸らして、みごと5手詰めに成功。ただし、持ち駒の桂1枚が浮いている駒余りなので、別の応手を検討する。あと一歩のところまで来た。頂上は近い。

 

 ▲3七桂△同竜▲2七角△3六合▲3五馬まで

 

 一応、ボケをかましておくが、これも駒余り。

 

 ▲3七桂△同竜▲2七角△同竜▲3七桂△同竜は、不詰み。ボケ過ぎにもほどがあり、何・・・(以下略)

 

 もう一枚の桂馬を打つためには、どうすればよいのだろう? 

 ここで棋神からの託宣が。「引いてダメなら進んでみよ。頭を柔らかくして、角のスイッチバック。」おお、これは実戦でも大事な教訓だ。

 

「第10条 大駒をどこから打つか考える。」

「第10条の言い換え 自他の大駒の筋を変えてみる。」

 

 ▲3七桂△同竜▲3四角△同竜▲5七桂までの5手詰め。

 

 おめでとう!

 確認のため、正解を繰り返しておこう。

 「▲3七桂△同竜▲3四角△同竜▲5七桂までの5手詰め。」

 

 ポイントは、最初の段階で、「敵駒を消去しよう」「非種駒である角を動かそう」というイメージを持つことができるかどうかに尽きる。つまり、「もし飛竜がいなければ」という条件付き一手詰めが見えるかどうかと、種駒と種駒以外の区別ができるかが鍵ということ。

 たしかに、応用問題は難題だった。さすがは天下の詰将棋解答選手権の問題。ちなみに、私シュうぇッチマンは、初級の問題を解こうと思ったら、間違えてチャンピオン戦の詰将棋を解いてしまっていた。まあ、これはこれで全国大会へ向けて非常に勉強になったのだが、しかし、これだけは言える。どれほどの難問であっても、基本はブレない、と。

 拙稿によって、詰将棋のファンが増えてくれれば幸いである。

 なお、言語化するのは骨が折れる作業だが、実戦11連勝中で、詰将棋解答選手権3連覇中の最年少棋士藤井聡太四段は、これを0.1秒のフィーリングで瞬殺してしまうんだろうな。恐ろしい。